Martha & The Vandellas “Dancing In The Street” (1964)

えっと今回は小ネタで

前回“King”ときたので
キング牧師のワシントン大行進演説(1963)→翌年1964年の黒人暴動のテーマソング(ウソ)、Martha & The Vandellas の“Dancing In The Street” というワケです

この可愛らしい黒人のお嬢さん3人組が繰り出したイカしたモータウンナンバーは、元々は黒人暴動とは全く関係のない、純粋なダンスミュージックであったのですが、暴動の多発する時期に

“Dancing In The Street!”と、ノリノリのビートに合わせて、お嬢さんたちがけしかけ…いや歌いかければ
「ほーかほーか、ほいだらいっちょやったろうやないかぁ!」と、血気盛んなお兄さんたちが通りでイロイロとDancingしてしまったというのも無理なからぬことでした
(暴動を誘発するとして、放送禁止になったというエピソードは有名)

いや暴力はいけませんよ。暴力は(ただし根源的なところで、暴力はイカンは果たして常に正しいかどうかについては保留しておく)

暴動とは全くカンケーのない、青春ダンスソングが
「シカゴで、ニューオーリンズで、ニューヨークシティで、フィラデルフィアで…」と力強く地名を差して歌われていくとき、
歌自体が、そのときまさに生起しつつある黒人たちの反抗=表出へと、作り手・歌い手の意志とは無縁に変容していってしまったのです

なんとも言えない不可思議なパワーと底抜けな楽天性に満ちあふれた素敵なナンバーです

ということで、“Dancing In The Street”の半世紀後にようやく
“Dancing In Kanteimae”と踊り始めた国もあるわけです

ただこれから「フクシマで、オキナワで、オオイゲンパツ前で、イワクニで、オオサカで…」と踊りが発現し続けるかどうかは、僕らにかかっているのでありましょう